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講座レポート 2024/10/21 No.2024-12 林芙美子の生涯


講座日  令和6年10月21日 13:30~15:05                              

講師   金井瑞恵 (新宿歴史博物館 地域歴史課 主任)


新宿歴史博物館、地域歴史課主任の金井瑞恵講師による林芙美子の生涯の講座。明治36年福岡県門司市で出生してから昭和26年新宿落合にて47歳で死去するまでの波乱に満ちた生涯をこの講座で詳しく受講する。ベストセラー作家となった後、自宅(現・新宿区立林芙美子記念館)を建設し、昭和16年から昭和26年6月まで居住。約20年間を落合で暮らし新宿とは縁が深い。母キクは美人で行商を生業として木賃宿の生活だったが、芙美子は周囲の支援もあって、高等女学校へ進学した。裕福な良家の子女しか通えなかった女学校に、行商を生業とする貧しい家の娘が入ることなど、当時は分不相応と考えられた。昭和5年自伝的小説「放浪記」、「続放浪記」が刊行され、合せて60万部のベストセラーとなる。この「放浪記」で得た印税を元手に中国・満州での旅。その後パリに向かい、半年ほど滞在した。金銭の余裕があれば国内外共に旅に出て、向こう見ずな単独行を恐れなかった。その後も上海、南京、シンガポール、ジャワ、スマトラに報道班員として滞在。貧しい現実を描写しながらも、夢や明るさを失わない独特の作風で人気を得た。戦後は社会の底辺で生きる人々に寄り添い、戦争によって人生を翻弄された人々を丁寧に描いた。芙美子は非常に多くの作品を残したが、亡くなる直前まで4本の連載を抱えていた。心臓麻痺で急逝したのだ。川端康成が葬儀委員長を行い、多くのファンや自宅周辺の人たちが長蛇の列を作り焼香に訪れた。受講者は芙美子の壮絶な人生を知った。


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