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講座レポート 2024/7/8 No.2024-8 NHK大河ドラマに因み 光る君へ


講座日  令和6年7月8日 13:30~15:30                              

講師   松村英明 ( 日本歴史文化研究所教授 )


「此の世をば我世とぞ思ふ望月の欠けたることも無しと思えば」

藤原道長の三女威子の立后祝宴で遂に娘3名を朝廷に入内させた時に道長が詠んだとされる和歌。摂関政治の絶頂を示した歌としてしばしば引用され、望月の歌と呼ばれることもある。道長の出世と紫式部(まひろ)のつながりを軸にNHKドラマは進んで行くのであるが、講座では史実との違いを指摘、解説をうける。①藤原道兼が紫式部母を殺したのは100%無し。刃傷沙汰を起こすと天皇家に出入り出来ない。② まひろと道長の恋はあり得ない。位が違いすぎて交流にならない。③まひろが和歌の代筆する可能性無し。字を書けない人は和歌のやりとりが出来ない。などであり、その他当時の平安時代のしきたり、風習の講義を受ける。たとえばまひろの父藤原為時は10年間位階があるのに官職に就いていない散位であったが基礎年金はもらえたので生活が成り立った。位を表わす位階は30位あり最高位は正一位、従一位である。禁色(きんじき)とは、一定の地位や官位等を持つ者以外に禁じられた服装、色である。道長は律令制度で最も権威のある内覧、氏長者、左大臣を得て死ぬまで手放さなかった。婚姻においては男が女の家に入る形で女側が費用一切を負担する。藤原実資の50年間の日記「小右記」は藤原道長・頼通の全盛時代の社会や政治、宮廷の儀式、故実などを詳細に記録してあり、それらを知るうえで大変重要な史料である等々ドラマと史実を知って「光る君へ」を視聴する深みが増しました。

 


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