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講座レポート 2023/5/15 No.2023-4 旅する子規~紀行文のすすめ~


講座日  令和5年5月15日 13:30~15:30                              

講師   木口直子 (田端文士村記念館研究員)


正岡子規は35年間の短い生涯で病と闘いながら、文筆にたずさわり、俳句、短歌、新体詩、小説、評論、随筆など多方面にわたり創作活動を行い、日本の近代文学に多大な影響を及ぼした、明治を代表する文学者の一人である。「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」は28歳の作。生涯の友だった夏目漱石とは俳句の添削や文学評論などを通じて互いに影響を与え続けた。また日本に野球が導入された最初の頃の熱心な選手でもあり、アメリカ発祥のベースボールを、子規は自らプレーし、広め、野球を題材とした俳句を数多く詠み残し、 また、子規が訳した野球用語は現在も使われている。「打者」「走者」「四球」「直球」「飛球」などである。 さて紀行文とは旅行中の出来事・見聞・感想などを記したもの。文学作品の1分野ともされるもので、『土佐日記』は、平安時代に成立した日本最古の紀行文のひとつ。紀貫之が土佐国から京に帰る最中に起きた出来事を綴った内容である。子規は「水戸紀行」、「道灌山」、「徒歩旅行を讀む」などを記したが徒歩旅行の紀行文をすすめている。さらに田端ゆかりの文士の紀行文である、中村楽天「徒歩旅行」、押川春浪「本州横断 癇癪徒歩旅行」、小杉放庵「旅のなさけ」「上州二日」、竹下夢二「涼しき土地」、芥川龍之介「日光小品」「紀行文論」も受講。龍之介は紀行文論で、万人にそれは作れるが凡庸を極めた読み物は少ないと書いた。 

 


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