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講座レポート 2023/5/8 No.2023-3 箱根火山 ー 群発地震と温泉の火山


講座日  令和5年5月8日 13:30~15:30                              

講師   高橋正樹講師 (日本大学文理学部、自然科学研究所上席研究員)


 

新宿区から箱根町まで80Km。殆どの受講者が訪れた事のある近郊観光地である箱根。今回の講座で世界的に大変ユニークな火山地であることを知らされた。すなわち箱根火山を含む伊豆半島はフィリピン海プレートに乗って北アメリカプレートに属する丹沢山地と衝突して、そのため丹沢山地は今も隆起を続けている。地球の表面は、十数枚のプレートと呼ばれる岩盤で覆われている。それぞれのプレートは太平洋や大西洋の海嶺で生まれ、年に数センチの速さで移動して、最後は海溝から地球内部に沈んで行く。箱根、富士山地域はフィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北アメリカプレートという3つのプレートが沈み込み境界で接する、地球上でもまれな沈み込み境界の三重会合点なのである。また箱根は「温泉のデパート」と呼ばれ高い場所に位置する芦ノ湖から早川谷に向かって大量の地下水が流下し、そこにマグマ溜りから放出されたマグマ性流体が上昇し、火山口から近い順に酸性イオウ泉、食塩泉、アルカリ性泉、単純泉が出現し、混合泉はいずれの場所でも発生。湯量豊富な箱根温泉はマグマと湖が織りなす大自然の妙といえる。なお箱根は日本有数の活火山であり水蒸気爆発、マグマ噴出が発生した場合、火砕流による被害も想定される。現在は巨大噴火を予知することは不可能であり、万が一の時に備えた防災意識と防災対策を行うことが肝要となるとの指摘であった。 

 


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