講座日 令和4年10月3日 13:30~15:30
講師 谷和明講師 (東京外国語大学名誉教授)
2021年夏に公開された「ドライブ・マイ・カー」はカンヌ、アカデミーなど世界各地で多くの賞をとり、日本アカデミーでは最優秀賞を総なめにした。この大成功の理由とその原作である村上春樹の短編小説との比較を解説する講座であった。1.妻と若い4人もの性的関係を知らないふりをして過ごした10年。それによる喪失の受容という原作のテーマを二人の喪失者が支えあい再生する物語に。2.他作品を利用してストーリーを拡充、変えながら、村上作品の雰囲気を再現した。脚本の独創性と完成度の高さに加え画像の有する迫真的訴求に合致し、主人公を魅力あるヒーローとすることで再生の物語としている。 ちなみに「ドライブ・マイ・カー」というタイトルはビートルズのアルバムRubber Soulの1曲目Drive My Carに由来する。車は男性目線からは、女体の比喩である。Drive my carは「やらせてあげる」を意味する。受講者の感想は、「物語の深い意味や表に出てこない解釈等々映画芸術というものを多いに楽しんだ。事前にビートルズの歌詞を訳されたり、幅広い村上春樹原作映画の紹介等、解釈が難しい村上原作映画を丁寧にかつ広い角度から解説いただき、ドライブマイカーの理解が深まりました。 この映画を見た時は、何故この作品がそんなに評価されるのか、理解出来ませんでしたが、谷講師のご講演を拝聴して、原作、他の村上作品、ビートルズの曲など、との繋がりに理解を深め、ガテンがいきました。