· 

講座レポート 2023/2/13 No.20  教えて!縄文Ⅲ


講座日  令和5年2月13日 13:30~15:30

講師   山田康弘講師 (東京都立大学大学院教授)


2022年11月9日の講座に続き3回目の講義。今回は縄文時代における複雑な精神文化の生成について。11,500年前から急激な温暖化が進み、海面が40m~120m程上昇した。それにより海進が進み入江、湾が出来、海産物が容易に採取出来るようになり、森は落葉樹が増え、どんぐり、ブナ、栗などを管理、食用とすることができた。本格的な定住生活が出来、大型の集落が出現した。これにより移動による問題解決ができなくなり社会的ルールの発達、死や災害などの忌避すべきものに対する祭りや呪術が発達した。また定住することで半径2Km程の範囲内で食料を獲得する必要がでてきた。日常生活と祭祀・呪術が一体化していて、たとえば出土した火炎型土器や水煙文土器などは底に炎の跡が残っていて、実際に鍋としても使用していた。土偶や祭祀跡が確認され、精神文化が複雑化したのである。呪術具においては男性性と女性性に基づくと思われるものが多く、縄文人の精神世界が男性的世界と女性的世界の2つに分かれていたことを示唆する。その2つが交接することにより、新しい生命の誕生/再生が促進されると信じられていた。また2つの死生観があり、再生・循環の死生観、および祖霊祭祀を伴う系譜的死生観があった。長い縄文時代の進展の講義で興味深い講座であった。